一心堂の墨・筆について
一心堂の墨
一心堂の墨は従来の製法に拘り、創業当時と変わらぬ書き心地、趣をお届けできるように心がけております。
特に菜種油煙や、胡麻油煙に代表される油煙墨に関しては、原料となる煤を採煙機で採るところもありますが、従来の植物性油の入った土器に燈芯を灯し、蓋につく煤を集める手法にこだわっております。
一心堂の筆
一心堂の筆は職人さんが一本一本丹精込めて仕上げた一品を取り揃えております。
奈良筆の職人さんは勿論、創業当時から御縁のある、熊野筆、川尻筆、豊橋筆の職人さんと相談し、納得いくまで何度も試行錯誤した上で商品化し、初めて店頭に並びます。
ですので、企画から店頭に並ぶまで半年、一年と掛かることも良くあります。
原料についてもできる限り良いものを使い、少しでも品質の良い筆をご提供できるように努めております。全国の腕の良い職人さんとのご縁があるからこそ何百種類とある筆の品質を維持できております。
墨と筆の歴史
筆の歴史
元祖ハ蒙恬だといわれ
て居る蒙恬は中国の秦時代
の人で従来の筆ニ改良を加え
稍々完成したものを造った
漢から唐へと時代が進むに
つれて新しい書体が生れその
用に合うように筆も種々改良
が加えられた
我が国では弘法大師が唐
にて製筆の法を学び大和の
国の住人※1酒井名清川に製筆
せしめ時の帝嵯峨天皇ニ献
した
今日全国に名声をはくし
ている奈良筆ハ今から二百数十
年昔清川の子孫が奈良に
移住しこの地が製筆の中心と
なり時代の進○につれ今日の
発展を見るにいたり筆とい
えバ奈良といわれるようになった
墨の歴史
中国の漢時代に隃糜山の松煙
から造ったのが墨の最初といわれている
居るそれは今をさる二千年昔の
ことでそれより数百年後の推
古天皇の十八年高麗の名僧
曇徴によって我が国につたえられ
た延喜式等にその造りかたが見え
ているが現今最良とされて居る
油煙墨ハ明徳応永の頃興福
寺二諦坊にて造ったこれが南都油
煙墨のはじめで※2それより千三百
年綿々としてつたえられその法ハ
今日に及び墨といえバ奈良とい
われるように全国のほとんどを
生産し品質の最良といわれ
て居る
一心堂主人謹書
※記載原文まま
※1 正式には「坂名井ノ清川」
※2 推古天皇の時代より1300年の意